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SPECIALCOLUMNLocalsonly.帰真園は、ユニバーサルデザインにも重きを置いている。園路は車椅子やベビーカー利用者も歩きやすい緩やかなスロープ状で、伝統的な日本家屋『旧清水邸書院』もスタッフの対応によって車椅子や、医療的ケア児はバギーに乗ったまま建物を見学できる。誰もが楽しめる庭園と書院を目指しているのだ。そんな帰真園は4月で開園10年目を迎える。小高さんは、「近隣の大学生や公園サポーターの皆さんの協力を得ながら、体験プログラムやイベントを開催0年はさらに地域との連してきました。これからの1携を深め、愛される庭園にしていきたいです」と庭園の将来像を語る。横田さんは、「母親のおなかにいたときから帰真園に来ていた男の子が2歳になって、元気にどんぐりを拾っています。そんな地域の子どもたちと一緒に、帰真園も育っている気がします」と目を細める。帰真園はきっと、二子玉川の子どもたちの故郷の風景の一つになるに違いない。『二子玉川ライズ・ショッピングセンター』から歩いて5分ほどの二子玉川公園にある帰真園。多摩川の源流から湧き出た水が、川幅を広げ、その昔、渡し船が行き来していた二子帰帆河岸に流れ着くまでを縮景として表した日本庭園で、自然を五感で感じながら散策できる憩いの場として親しまれている。春には庭園の木々が芽吹き、緑の葉が風に揺られ、生命力に満ちた空間になる。数種類のサクラが凛とした花を咲かせ、ジンチョウゲやミツマタの花は心地よい香りをただよわせる。植物だけでなく、アズマヒキガエルのオタマジャクシやトンボなどの両生類や昆虫、カワセミやチョウゲンボウといった鳥など、多様な生き物も姿を見せる。「公園に隣接する多摩川や緑に覆われた国分寺崖線から来たのでしょう。人の手でつくった庭園が二子玉川の自然に溶け込んでいく姿は、まさに帰真園の名前の由来である真実の自然に帰る、リターン・トゥ・ネイチャーの想いをかなえるものです」と、帰真園を管理・運営する『自然教育研究センター』の小高英之さんは言う。やって来た生き物を迎えるのは、地域の子どもたちだ。たとえば春、アズマヒキガエルのオタマジャクシを観察する会が催されるとき、ジュニアサポーターと呼ばれる近隣の学校に通う子どもたちで構成されるボランティアグループがスタッフと一緒に、子ども目線でオタマジャクシについて説明する。私たちより興味深く説明してくれて、頼もしいです」と、同センターの横田明子さんも笑顔で話す。子どもたちに日本庭園の楽しみ方を知ってもらうため、周遊式の日本庭園にはたくさんの樹木や草花が生え、絵本を使ったイベントなども企画。例年たくさんの親子季節ごとにさまざまな表情を見せてくれます。花の香りをの方が参加され、みんな身近にいる生き物や植物に興嗅いだり鳥や虫の声に耳を澄ましてみたり、自分なりの楽味津々。しみ方を見つけてみてください。vol.07都会のなかの日本庭園お話を聞いたのは自然教育研究センター小高英之さん、横田明子さん