リセの日記

去年の春は何してたっけ。
クローゼットの服を引っぱり出しながら、ふと考える。
記録によれば、ちゃんと十二カ月前のこと。
記憶によると、もっと前のことのようで、忘れられないほど特別だった時間たち。
家は、前より愛おしい場所になった。
時間は、わたしの速度で流れて、わたしは、前よりずっとわたしらしくなった。
身につけるもの、そばにあるもの、大切なひと、
いろんなものとの距離感も。
そんな新しいわたしには、もっと似合う服がある。
踏み出す一歩の意味を知ると、もっとふさわしい靴がほかにあるはず。
そう思うと、なるほど、
春はまた新しい自分をはじめるために、巡ってくる気がした。

春が来る、意味がある。
New spring is coming.
“A day rises again and a season goes around.” / (陽はまた昇り、季節は巡る。 知っていたのに、こんなにも新鮮に聴こえるなんてね、)
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